百年再生・安中のアトリエ

再生の場

築百年の古民家を引き受けた建主は画家

当初、土蔵倉をアトリエとしていたものの、

冬場は体調に触るほどあまりに寒く、

設計者に託されたのは、

大正期の農家母屋の大改築です

屋根裏に入って現場を確認すると、

昭和期に何度か手直しされていたものの、

それが却ってアダとなっていたり、

どこから手をつけていいか?

悩むばかりだった転機は、

屋根裏から現れた一本の畝る梁でした

暗い屋根裏に潜んでいた龍の如く、

仰ぎ見る者を圧倒する存在感

この梁こそが画家の魂を共鳴させ、

再生計画の根幹が形成されました

プランニングは流れるように進み、

メイン空間は2階アトリエとなり、

床に降り注ぐ光を暗い一階食堂に降ろし、

上下立体的な生活空間が

百年の刻を超え、再生されました

梁の出現で船底天井に設計変更
漆喰天井に煤の染み込んだ梁が浮かぶ

既存床を全面解体し百年の時が露わに。土台が無い
柱脚部は朽ちかけていた
昭和中期に一度手が入った食堂吹抜
改築後、二階窓の光を一階天井内トップライトから食堂へ降ろす
一階天井のトップライトを見上げる
一階の食堂に光を下ろす床面トップライト
2階床トップライト。下は食堂
西主屋吹抜けから、写真右奥に床トップライトが見える
正面奥の南窓面にキッチンを新設
2階のアトリエへ

完成したアトリエ
天井裏型現れ出た梁は、100年前から屋根裏に住み着く龍の如し

百年再生・安中のアトリエ

場所
群馬県
用途
養蚕農家からアトリエ
構造
大正期 木造2階建て(改築工事)
竣工年数
建設:大正期、改築:2008年11月